PostgreSQLの統計情報コレクタはサーバの活動状況に関する情報を収集し、報告するサブシステムです。 現在、コレクタはテーブルとインデックスへのアクセスをディスクブロックおよび個々の行単位で数えることができます。 またこれは、各テーブル内の総行数、および、各テーブルでのVACUUMやANALYZEの実施情報を追跡します。 また、ユーザ定義関数の呼ばれた回数、それぞれの消費した総時間をカウントします。
また、PostgreSQLは他のサーバプロセスによって現在実行されている正確なコマンドなど現在システム内で起きていること、またシステム内にどんな他の接続が存在するかということについての動的情報を正確に報告する機能を持ちます。 これはコレクタプロセスから独立している機能です。
統計情報の収集によって問い合わせの実行に少しオーバーヘッドが加わりますので、システムは情報を収集するようにもしないようにも設定することができます。
これは通常はpostgresql.conf
内で設定される、設定パラメータによって制御されます
(設定パラメータの設定についての詳細は18章サーバの設定を参照してください)。
track_activitiesパラメータにより、すべてのサーバプロセスで現在実行されているコマンドを監視することができます。
track_countsパラメータは、テーブルおよびインデックスアクセスに関する統計情報を収集するかどうか制御します。
track_functionsパラメータは、ユーザ定義関数の使用状況を追跡するかどうかを指定できます。
track_io_timingパラメータは、ブロック読み取りおよび書き込み回数の監視するかどうかを指定できます。
通常、これらの変数は全てのサーバプロセスに適用できるようにpostgresql.conf
内で設定されます。
しかし、SETコマンドを使用して、個別のセッションで有効または無効にできます。
(一般ユーザがその活動を管理者に隠すことを防止するために、スーパーユーザのみがSET
を使用してこれらのパラメータを変更できます。)
統計情報コレクタは収集した情報を他のPostgreSQLプロセスに一時ファイルを介して送信します。
これらのファイルはstats_temp_directoryで指名されたディレクトリ、デフォルトはpg_stat_tmp
内に格納されます。
性能を向上させるために、stats_temp_directory
をRAMベースのファイルシステムを指し示すようにして、物理的なI/O要求を減らすことができます。
サーバが正しくシャットダウンした際は、統計情報がサーバの再起動を跨がって保持されるように、統計情報データの永続的なコピーがpg_stat
サブディレクトリに格納されます。
サーバ起動時にリカバリが実施される場合(例えば、即時シャットダウンやサーバクラッシュ、ポイントインタイムリカバリ)、統計カウンタをすべてリセットします。
システムの現在の状態を表示するために、いくつかの定義済みのビューがあり、表27.1「動的統計情報ビュー」に一覧されています。 また、統計情報の収集結果を表示するために、他にもいくつかのビューがあり、表27.2「収集済み統計情報ビュー」に一覧されています。 他にも、「統計情報関数」で説明する、基礎的な統計情報関数を使用した独自のビューを構築することもできます。
この統計情報を使用して、収集されるデータを監視する場合、この情報は即座に更新されないことを認識することが重要です。
個別のサーバプロセスは、待機状態になる直前に、新しい統計情報に関する数をコレクタに送信します。
ですので、実行中の問い合わせやトランザクションは表示上の総和には影響を与えません。
また、コレクタ自体もおよそPGSTAT_STAT_INTERVAL
(サーバ構築時に変更しない限り500 ms)ミリ秒に一度新しい報告を出力します。
ですので、表示上の情報は実際の活動から遅れて表示されます。
しかし、track_activities
で収集される現在の問い合わせの情報は常に最新です。
この他の重要なポイントは、いつサーバプロセスが統計情報を表示するように尋ねられるかです。
サーバプロセスは、まずコレクタによって発行された最も最近の報告を取り出します。
そして、現在のトランザクションが終わるまで、全ての統計情報ビューと関数においてこのスナップショットを使用し続けます。
ですから、現在のトランザクションを続けている間、統計情報は一定の情報を示します。
同様に、全セッションの現在の問い合わせに関する情報も、そうした情報がトランザクションで最初に要求された時に収集され、そのトランザクションの間同じ情報が表示されます。
これはバグではなく、特徴です。
なぜなら、これにより、知らない間に値が変更することを考慮することなく、統計情報に対して複数の問い合わせを実行し、その結果を相関することができるからです。
しかし、各問い合わせで新しい結果を取り出したい場合は、確実にトランザクションブロックの外側でその問い合わせを行ってください。
他にもpg_stat_clear_snapshot
()を呼び出すこともできます。
これは現在のトランザクションの統計情報スナップショットを(もしあれば)破棄します。
次に統計情報を使用する場合に新しいスナップショットを取り出すことになります。
トランザクションからは、pg_stat_xact_all_tables
、pg_stat_xact_sys_tables
、pg_stat_xact_user_tables
、pg_stat_xact_user_functions
、およびこれらのビューの元となっている関数を通じて、自身の統計情報(まだコレクタに送られていない)も参照することができます。
これらの数値はトランザクション中に継続的に更新されていくため上記の様な(静的な情報を示す)振る舞いとはなりません。
表27.1 動的統計情報ビュー
ビュー名 | 説明 |
---|---|
pg_stat_activity
| サーバ当たり1行の形式で、状態や現在の問い合わせ等のプロセスの現在の活動状況に関連した情報を表示します。 詳細についてはpg_stat_activityを参照してください。 |
pg_stat_replication | WAL送信プロセス毎に1行の形式で、送信サーバが接続したスタンバイサーバへのレプリケーションに関する統計情報を表示します。 詳細についてはpg_stat_replicationを参照して下さい。 |
pg_stat_ssl | 接続(通常およびレプリケーション)あたり1行の形式で、接続に使われるSSLの情報を表示します。 詳しくはpg_stat_sslを参照して下さい。 |
表27.2 収集済み統計情報ビュー
ビュー名 | 説明 |
---|---|
pg_stat_archiver | WALアーカイバプロセスの活動状況に関する統計情報を1行のみで表示します 詳細についてはpg_stat_archiverを参照してください。 |
pg_stat_bgwriter | バックグラウンドライタプロセスの活動状況に関する統計情報を1行のみで表示します。 詳細についてはpg_stat_bgwriterを参照してください。 |
pg_stat_database | データベース当たり1行の形で、データベース全体の情報を表示します。 詳細についてはpg_stat_databaseを参照してください。 |
pg_stat_database_conflicts | データベース毎に1行の形式で、スタンバイサーバにおける復旧との競合のためにキャンセルされた問い合わせについてのデータベース全体の統計情報を表示します。 詳細についてはpg_stat_database_conflictsを参照して下さい。 |
pg_stat_all_tables | 現在のデータベースの各テーブルごとに1行の形で、特定のテーブルへのアクセスに関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_stat_all_tablesを参照してください。 |
pg_stat_sys_tables | システムテーブルのみが表示される点を除き、pg_stat_all_tables と同じです。 |
pg_stat_user_tables | ユーザテーブルのみが表示される点を除き、pg_stat_all_tables と同じです。 |
pg_stat_xact_all_tables | pg_stat_all_tables と似ていますが、現在のトランザクションにて実施された処理結果をカウントします。(数値が見える時点では、これらの数値はpg_stat_all_tables と関連するビューに含まれていません。)
このビューでは、有効行数、無効行数、およびバキュームやアナライズの活動は表示しません。
|
pg_stat_xact_sys_tables | システムテーブルのみが表示される点を除き、pg_stat_xact_all_tables と同じです。
|
pg_stat_xact_user_tables | ユーザテーブルのみが表示される点を除き、pg_stat_xact_all_tables と同じです。
|
pg_stat_all_indexes | 現在のデータベースのインデックスごとに1行の形で、特定のインデックスへのアクセスに関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_stat_all_indexesを参照してください。 |
pg_stat_sys_indexes | システムテーブルのインデックスのみが表示される点を除き、pg_stat_all_indexes と同じです。 |
pg_stat_user_indexes | ユーザテーブルのインデックスのみが表示される点を除き、pg_stat_all_indexes と同じです。 |
pg_statio_all_tables | 現在のデータベース内のテーブルごとに1行の形で、特定のテーブルに対するI/Oに関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_statio_all_tablesを参照してください。 |
pg_statio_sys_tables | システムテーブルのみが表示される点を除き、pg_statio_all_tables と同じです。 |
pg_statio_user_tables | ユーザテーブルのみが表示される点を除き、pg_statio_all_tables と同じです。 |
pg_statio_all_indexes | 現在のデータベース内のインデックスごとに1行の形で、特定のインデックスに対するI/Oに関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_statio_all_indexesを示します。 |
pg_statio_sys_indexes | システムテーブルのインデックスのみが表示される点を除き、pg_statio_all_indexes と同じです。 |
pg_statio_user_indexes | ユーザテーブルのインデックスのみが表示される点を除き、pg_statio_all_indexes と同じです。 |
pg_statio_all_sequences | 現在のデータベース内のシーケンスごとに1行の形で、特定のシーケンスに対するI/Oに関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_statio_all_sequencesを参照してください。 |
pg_statio_sys_sequences | システムシーケンスのみが表示される点を除き、pg_statio_all_sequences と同じです
(現時点では、システムシーケンスは定義されていませんので、このビューは常に空です)。 |
pg_statio_user_sequences | ユーザシーケンスのみが表示される点を除き、pg_statio_all_sequences と同じです。 |
pg_stat_user_functions | 追跡された関数ごとに1行の形で、関数の実行に関する統計情報を示します。 詳細についてはpg_stat_user_functionsを参照してください。 |
pg_stat_xact_user_functions | pg_stat_user_functions と似ていますが、現在のトランザクション中に呼び出されたものだけをカウントします。
(数値が見える時点では、これらの数値はpg_stat_user_functions に含まれていません。)
|
インデックス単位の統計情報は、どのインデックスが使用され、どの程度効果があるのかを評価する際に、特に有用です。
pg_statio_
ビューは主に、バッファキャッシュの効率を評価する際に有用です。
実ディスク読み取りの数がバッファヒットの数よりもかなり少ないのであれば、そのキャッシュはカーネル呼び出しを行うことなく、ほとんどの読み取り要求を満足させています。
しかし、PostgreSQLバッファキャッシュに存在しないデータはカーネルのI/Oキャッシュにある可能性があり、そのため、物理的な読み取りを行うことなく取り出される可能性があるというPostgreSQLのディスクI/Oの取り扱いのため、これらの統計情報は、完全な論拠を提供しません。
PostgreSQLのI/O動作に関するより詳細な情報を入手したいのであれば、PostgreSQL統計情報コレクタとカーネルのI/Oの取り扱いの監視を行うオペレーティングシステムユーティリティを組み合わせることを勧めます。
表27.3 pg_stat_activity
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
datid | oid | バックエンドが接続するデータベースのOIDです。 |
datname | name | バックエンドが接続するデータベースの名前です。 |
pid | integer | バックエンドのプロセスIDです。 |
usesysid | oid | バックエンドにログインしたユーザの識別子です。 |
usename | name | バックエンドに接続したユーザの名前です。 |
application_name | text | バックエンドに接続したアプリケーションの名前です。 |
client_addr | inet | バックエンドに接続したクライアントのIPアドレスです。 このフィールドがNULLである場合、これはクライアントがサーバマシン上のUnixソケット経由で接続されたか、自動バキュームなど内部処理であることを示します。 |
client_hostname | text | client_addr の逆引き検索により報告された、接続クライアントのホスト名です。
IP接続、かつlog_hostnameが有効である場合にのみこのフィールドは非NULLになります。
|
client_port | integer | クライアントがバックエンドとの通信に使用するTCPポート、もしUnixソケットを使用する場合は-1 です。
|
backend_start | timestamp with time zone | プロセスが開始、つまりクライアントがサーバに接続した時刻です。 |
xact_start | timestamp with time zone | プロセスの現在のトランザクションが開始した時刻です。
活動中のトランザクションがない場合はNULLです。
現在の問い合わせがトランザクションの先頭である場合、この列はquery_start 列と同じです。
|
query_start | timestamp with time zone | 現在有効な問い合わせが開始した時刻です。
もしstate がactive でない場合は直前の問い合わせが開始した時刻です。
|
state_change | timestamp with time zone | state の最終変更時刻です。 |
waiting | boolean | バックエンドが現在ロックを待機している場合は真です。 |
state | text | 現在のバックエンドの総体的な状態です。
以下のいずれかの値を取ることができます。
|
backend_xid | xid | もしあれば、このバックエンドの最上位のトランザクション識別子。 |
backend_xmin | xid | 現在のバックエンドのxmin 。
|
query | text | バックエンドの最も最近の問い合わせテキストです。
state がactive の場合、現在実行中の問い合わせを意味します。
その他のすべての状態では、実行済みの最後の問い合わせを示します。
|
pg_stat_activity
はサーバプロセス毎に、そのプロセスの現在の活動に関連する情報を表示する1行を持ちます。
waiting
とstate
列は独立しています。
バックエンドがactive
状態である場合、waiting
かもしれませんし、そうでないかもしれません。
状態がactive
であり、waiting
が真である場合、問い合わせは実行中ですが、システム内の何らかのロックによりブロックされていることを意味します。
表27.4 pg_stat_replication
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
pid | integer | WAL送信プロセスのプロセスIDです。 |
usesysid | oid | WAL送信プロセスにログインしたユーザのOIDです。 |
usename | name | WAL送信プロセスにログインしたユーザの名前です。 |
application_name | text | WAL送信処理に接続したアプリケーションの名前です。 |
client_addr | inet | WAL送信処理に接続したクライアントのIPアドレスです。 このフィールドがNULLの場合、クライアントがサーバマシン上のUnixソケット経由で接続したことを示します。 |
client_hostname | text | client_addr のDNS逆引き検索により報告された、接続クライアントのホスト名です。
IP接続、かつlog_hostnameが有効である場合にのみこのフィールドは非NULLになります。
|
client_port | integer | クライアントがWAL送信処理との通信に使用するTCPポート番号、もしUnixソケットを使用する場合は-1 です。
|
backend_start | timestamp with time zone | プロセスが開始、つまりクライアントがWAL送信処理に接続した時刻です。 |
backend_xmin | xid | hot_standby_feedbackにより報告されたこのスタンバイのxmin です。 |
state | text | 現在のWAL送信処理の状態です。 |
sent_location | pg_lsn | 現在のWAL送信処理の状態です。 |
write_location | pg_lsn | スタンバイサーバによってディスクに書き出された最後のトランザクションログ位置です。 |
flush_location | pg_lsn | スタンバイサーバによってディスクに吐き出された最後のトランザクションログ位置です。 |
replay_location | pg_lsn | スタンバイサーバ上のデータベースに再生された最後のトランザクションログ位置です。 |
sync_priority | integer | このスタンバイサーバが同期スタンバイとして選択される優先度です。 |
sync_state | text | スタンバイサーバの同期状態です。 |
pg_stat_replication
ビューには、WAL送信プロセス毎に、送信処理に接続したスタンバイサーバへのレプリケーションに関する統計情報を示す1行を保持します。
直接接続されたサーバのみが一覧表示されます。
下流のスタンバイサーバに関する情報はありません。
表27.5 pg_stat_ssl
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
pid | integer | バックエンドプロセスまたはWAL送信プロセスのプロセスIDです。 |
ssl | boolean | この接続でSSLが使用されていれば真になります。 |
version | text | 使用されているSSLのバージョン、この接続でSSLが使用されていなければNULLになります。 |
cipher | text | 使用されているSSL暗号の名前、この接続でSSLが使用されていなければNULLになります。 |
bits | integer | 使用されている暗号アルゴリズムのビット数、この接続でSSLが使用されていなければNULLになります。 |
compression | boolean | SSL圧縮が使用されていれば真、使用されていなければ偽、この接続でSSLが使用されていなければNULLになります。 |
clientdn | text | 使用されているクライアント証明書の識別名(DN)フィールド、クライアント証明書が提供されなかった場合、およびこの接続でSSLが使用されていない場合はNULLになります。
このフィールドは、DNフィールドがNAMEDATALEN (標準ビルドでは64文字)より長いと切り詰められます。
|
pg_stat_ssl
ビューは、バックエンドプロセスおよびWAL送信プロセスごとに1行を保持し、接続上でのSSLの使用に関する統計情報を示します。
pg_stat_activity
またはpg_stat_replication
とpid
列で結合することで、接続に関するより詳細な情報を取得することができます。
表27.6 pg_stat_archiver
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
archived_count | bigint | アーカイブに成功したWALファイルの数 |
last_archived_wal | text | アーカイブに成功した最後のWALファイルの名前 |
last_archived_time | timestamp with time zone | 最後に成功したアーカイブ操作の時刻 |
failed_count | bigint | WALファイルのアーカイブに失敗した回数 |
last_failed_wal | text | 最後にアーカイブ操作に失敗したWALファイルの名前 |
last_failed_time | timestamp with time zone | 最後にアーカイブ操作に失敗した時刻 |
stats_reset | timestamp with time zone | この統計が最後にリセットされた時刻 |
pg_stat_archiver
は常に、クラスタのアーカイバプロセスに関するデータを含む1つの行を持ちます。
表27.7 pg_stat_bgwriter
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
checkpoints_timed | bigint | これまでに実行された、スケジュールされたチェックポイントの個数です。 |
checkpoints_req | bigint | これまでに実行された、要求されたチェックポイントの個数です。 |
checkpoint_write_time | double precision | チェックポイント処理におけるディスクにファイルを書き出す部分に費やされた、ミリ秒単位の総時間です。 |
checkpoint_sync_time | double precision | チェックポイント処理におけるディスクにファイルを同期する部分に費やされた、ミリ秒単位の総時間です。 |
buffers_checkpoint | bigint | チェックポイント期間に書き出されたバッファ数です。 |
buffers_clean | bigint | バックグラウンドライタにより書き出されたバッファ数です。 |
maxwritten_clean | bigint | バックグラウンドライタが書き出したバッファ数が多過ぎたために、整理用スキャンを停止した回数です。 |
buffers_backend | bigint | バックエンドにより直接書き出されたバッファ数です。 |
buffers_backend_fsync | bigint | バックエンドが独自にfsync 呼び出しを実行しなければならなかった回数です。
(通常は、バックエンドが独自に書き込んだ場合であっても、バックグラウンドライタがこれらを扱います。)
|
buffers_alloc | bigint | 割当られたバッファ数です。 |
stats_reset | timestamp with time zone | これらの統計情報がリセットされた最終時刻です。 |
pg_stat_bgwriter
ビューは常に、クラスタのグローバルデータに関する1つの行を持ちます。
表27.8 pg_stat_database
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
datid | oid | データベースのOIDです。 |
datname | name | データベースの名前です。 |
numbackends | integer | 現在データベースに接続しているバックエンドの個数です。 これは、このビューの中で、現在の状態を反映した値を返す唯一の列です。 他の列はすべて、最後にリセットされてから累積された値を返します。 |
xact_commit | bigint | このデータベースの中でコミットされたトランザクション数です。 |
xact_rollback | bigint | このデータベースの中でロールバックされたトランザクション数です。 |
blks_read | bigint | データベース内で読み取られたディスクブロック数です。 |
blks_hit | bigint | バッファキャッシュに既にあることが分かっているために読み取りが不要だったディスクブロック数です(これにはPostgreSQLのバッファキャッシュにおけるヒットのみが含まれ、オペレーティングシステムのファイルシステムキャッシュは含まれません)。 |
tup_returned | bigint | データベース内の問い合わせで返された行数です。 |
tup_fetched | bigint | データベース内の問い合わせで取り出された行数です。 |
tup_inserted | bigint | データベース内の問い合わせで挿入された行数です。 |
tup_updated | bigint | データベース内の問い合わせで更新された行数です。 |
tup_deleted | bigint | データベース内の問い合わせで削除された行数です。 |
conflicts | bigint | データベース内のリカバリで競合したためキャンセルされた問い合わせ数です。 (競合はスタンバイサーバ上でのみ起こります。詳細についてはpg_stat_database_conflictsを参照してください。) |
temp_files | bigint | データベース内の問い合わせによって書き出された一時ファイルの個数です。 一時ファイルが作成された理由(ソート処理やハッシュ処理)やlog_temp_filesの設定に関わらず、すべての一時ファイルが計上されます。 |
temp_bytes | bigint | データベース内の問い合わせによって一時ファイルに書き出されたデータ量です。 一時ファイルが作成された理由やlog_temp_filesの設定に関わらず、すべての一時ファイルが計上されます。 |
deadlocks | bigint | データベース内で検知されたデッドロック数です。 |
blk_read_time | double precision | データベース内でバックエンドによりデータファイルブロックの読み取りに費やされた、ミリ秒単位の時間です。 |
blk_write_time | double precision | データベース内でバックエンドによりデータファイルブロックの書き出しに費やされた、ミリ秒単位の時間です。 |
stats_reset | timestamp with time zone | 統計情報がリセットされた最終時刻です。 |
pg_stat_database
には、クラスタ内のデータベース毎にデータベース全体の統計情報を示す1行が含まれます。
表27.9 pg_stat_database_conflicts
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
datid | oid | データベースのOIDです。 |
datname | name | データベースの名前です。 |
confl_tablespace | bigint | データベースにおいて、削除されたテーブル空間のためにキャンセルされた問い合わせの個数です。 |
confl_lock | bigint | データベースにおいて、ロック時間切れのためにキャンセルされた問い合わせの個数です。 |
confl_snapshot | bigint | データベースにおいて、古いスナップショットのためにキャンセルされた問い合わせの個数です。 |
confl_bufferpin | bigint | データベースにおいて、ピンが付いたバッファのためにキャンセルされた問い合わせの個数です。 |
confl_deadlock | bigint | データベースにおいて、デッドロックのためにキャンセルされた問い合わせの個数です。 |
pg_stat_database_conflicts
ビューは、データベース毎に1行を保持し、スタンバイサーバでのリカバリと競合するためにキャンセルされた問い合わせに関するデータベース全体の統計情報を示します。
マスタサーバでは競合は発生しませんので、スタンバイサーバ上の情報のみが保持されます。
表27.10 pg_stat_all_tables
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
relid | oid | テーブルのOIDです。 |
schemaname | name | テーブルが存在するスキーマの名前です。 |
relname | name | テーブルの名前です。 |
seq_scan | bigint | テーブル上で初期化されたシーケンシャルスキャンの個数です。 |
seq_tup_read | bigint | シーケンシャルスキャンによって取り出された有効行の個数です。 |
idx_scan | bigint | テーブル上で初期化されたインデックススキャンの個数です。 |
idx_tup_fetch | bigint | インデックススキャンによって取り出された有効行の個数です。 |
n_tup_ins | bigint | 挿入された行数です。 |
n_tup_upd | bigint | 更新された行数です。(HOT更新された行数を含みます) |
n_tup_del | bigint | 削除された行数です。 |
n_tup_hot_upd | bigint | HOT更新(つまりインデックスの更新を別途必要としない)された行数です。 |
n_live_tup | bigint | 有効行の推定値です。 |
n_dead_tup | bigint | 不要行の推定値です。 |
n_mod_since_analyze | bigint | このテーブルが最後に解析されてから変更された行の推定値 |
last_vacuum | timestamp with time zone | テーブルが手作業でバキュームされた最終時刻です(VACUUM FULL は含まれません)。
|
last_autovacuum | timestamp with time zone | 自動バキュームデーモンによりテーブルがバキュームされた最終時刻です。 |
last_analyze | timestamp with time zone | テーブルが手作業で解析された最終時刻です。 |
last_autoanalyze | timestamp with time zone | 自動バキュームデーモンによりテーブルが解析された最終時刻です。 |
vacuum_count | bigint | テーブルが手作業でバキュームされた回数です。(VACUUM FULL は含まれません)。 |
autovacuum_count | bigint | テーブルが自動バキュームデーモンによりバキュームされた回数です。 |
analyze_count | bigint | テーブルが手作業で解析された回数です。 |
autoanalyze_count | bigint | テーブルが自動バキュームデーモンによって解析された回数です。 |
pg_stat_all_tables
ビューは現在のデータベース内のテーブル(TOASTテーブルを含む)毎に1行の形式で、特定のテーブルへのアクセスに関する統計情報を表示します。
pg_stat_user_tables
およびpg_stat_sys_tables
ビューにも同じ情報が含まれますが、それぞれユーザテーブルとシステムテーブルのみにフィルタされています。
表27.11 pg_stat_all_indexes
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
relid | oid | インデックス対象のテーブルのOIDです。 |
indexrelid | oid | インデックスのOIDです。 |
schemaname | name | インデックスが存在するスキーマの名前です。 |
relname | name | インデックス対象のテーブルの名前です。 |
indexrelname | name | インデックスの名前です。 |
idx_scan | bigint | インデックスに対して初期化されたインデックススキャンの個数です。 |
idx_tup_read | bigint | インデックスに対するスキャンにより返されたインデックス項目の個数です。 |
idx_tup_fetch | bigint | インデックスを使用する単純なインデックススキャンによって取り出された有効テーブル行数です。 |
pg_stat_all_indexes
ビューは、現在のデータベース内のインデックス毎に、特定のインデックスへのアクセスに関する統計情報を示す1行を保持します。
pg_stat_user_indexes
とpg_stat_sys_indexes
も同じ情報を保持しますが、ユーザ向けのインデックスとシステム向けのインデックスに対する行のみを保持するようにフィルタ処理されています。
単純なインデックススキャン、「ビットマップ」インデックススキャン、あるいはオプティマイザによりインデックスが使用されることがあります。
ビットマップスキャンでは、複数のインデックスの出力をANDやOR規則で組み合わせることができます。
このため、ビットマップスキャンが使用される場合、特定インデックスと個々のヒープ行の取り出しとを関連づけることが困難です。
したがってビットマップスキャンでは、使用したインデックスのpg_stat_all_indexes
.idx_tup_read
個数を増やし、そのテーブルのpg_stat_all_tables
.idx_tup_fetch
個数を増やしますが、pg_stat_all_indexes
.idx_tup_fetch
を変更しません。
オプティマイザもインデックスにアクセスし、提供された定数値がオプティマイザの統計情報に記録された範囲の外側にあるときに、それを検査します。
これはオプティマイザの統計情報が古いかもしれないからです。
idx_tup_read
とidx_tup_fetch
個数は、ビットマップスキャンがまったく使用されていない場合でも異なります。
idx_tup_read
はインデックスから取り出したインデックス項目を計上し、idx_tup_fetch
はテーブルから取り出した有効行を計上するからです。
インデックスを用いて不要行やまだコミットされていない行が取り出された場合やインデックスオンリースキャン法によりヒープの取り出しが回避された場合に、後者は減少します。
表27.12 pg_statio_all_tables
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
relid | oid | テーブルのOIDです。 |
schemaname | name | テーブルが存在するスキーマの名前です。 |
relname | name | テーブルの名前です。 |
heap_blks_read | bigint | テーブルから読み取られたディスクブロック数です。 |
heap_blks_hit | bigint | テーブル内のバッファヒット数です。 |
idx_blks_read | bigint | テーブル上のすべてのインデックスから読み取られたディスクブロック数です。 |
idx_blks_hit | bigint | テーブル上のすべてのインデックス内のバッファヒット数です。 |
toast_blks_read | bigint | テーブルのTOASTテーブル(もしあれば)から読み取られたディスクブロック数です。 |
toast_blks_hit | bigint | テーブルのTOASTテーブル(もしあれば)におけるバッファヒット数です。 |
tidx_blks_read | bigint | テーブルのTOASTテーブルのインデックス(もしあれば)から読み取られたディスクブロック数です。 |
tidx_blks_hit | bigint | テーブルのTOASTテーブルのインデックス(もしあれば)におけるバッファヒット数です。 |
pg_statio_all_tables
ビューは現在のデータベース内のテーブル(TOASTテーブルを含む)ごとに、特定のテーブルのI/Oに関する統計情報を示す1行を保持します。
pg_statio_user_tables
とpg_statio_sys_tables
には同じ情報が保持されますが、ユーザテーブルとシステムテーブルに関する行のみを持つようにフィルタ処理がなされています。
表27.13 pg_statio_all_indexes
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
relid | oid | このインデックスに対応するテーブルのOIDです。 |
indexrelid | oid | インデックスのOIDです。 |
schemaname | name | インデックスが存在するスキーマの名前です。 |
relname | name | このインデックスに対応するテーブルの名前です。 |
indexrelname | name | インデックスの名前です。 |
idx_blks_read | bigint | インデックスから読み取られたディスクブロック数です。 |
idx_blks_hit | bigint | インデックスにおけるバッファヒット数です。 |
pg_statio_all_indexes
ビューは、現在のデータベース内のインデックス毎に、特定のインデックスへのI/Oに関する統計情報を持つ1行を保持します。
pg_statio_user_indexes
とpg_statio_sys_indexes
も同じ情報を保持しますが、それぞれユーザ向けのインデックスとシステム向けのインデックスに対する行のみを保持するようにフィルタ処理されています。
表27.14 pg_statio_all_sequences
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
relid | oid | シーケンスのOIDです。 |
schemaname | name | シーケンスが存在するスキーマの名前です。 |
relname | name | シーケンスの名前です。 |
blks_read | bigint | シーケンスから読み取られたディスクブロック数です。 |
blks_hit | bigint | シーケンスにおけるバッファヒット数です。 |
pg_statio_all_sequences
ビューは現在のデータベース内のシーケンスごとに、特定シーケンスにおけるI/Oに関する統計情報を示す1行を保持します。
表27.15 pg_stat_user_functions
ビュー
列 | 型 | 説明 |
---|---|---|
funcid | oid | 関数のOIDです。 |
schemaname | name | 関数が存在するスキーマの名前です。 |
funcname | name | 関数の名前です。 |
calls | bigint | 関数が呼び出された回数です。 |
total_time | double precision | 関数とその関数から呼び出されるその他の関数で費やされた、ミリ秒単位の総時間です。 |
self_time | double precision | その関数から呼び出されるその他の関数で費やされた時間を含まない、関数自身で費やされた、ミリ秒単位の総時間です。 |
pg_stat_user_functions
ビューは追跡された関数毎に、その関数の実行に関する統計情報を1行保持します。
track_functionsパラメータは関数が追跡されるかどうかを正確に制御します。
統計情報を参照する他の方法は、上述の標準ビューによって使用される基礎的な統計情報アクセス関数と同じ関数を使用した問い合わせを作成することで設定することができます。
こうした関数の名前などに関する詳細については、標準ビューの定義を参照してください。
(例えばpsqlでは\d+ pg_stat_activity
を発行してください。)
データベースごとの統計情報についてのアクセス関数は、どのデータベースに対して報告するのかを識別するためにデータベースのOIDを取ります。
テーブルごと、インデックスごとの関数はテーブルの、もしくはインデックスのOIDを取ります。
関数ごとの統計情報の関数は、関数のOIDを取ります。
これらの関数を使用して参照できるテーブルとインデックス、および関数は現在のデータベース内のものだけであることに注意してください。
その他の統計情報収集に関連した関数を表27.16「その他の統計情報関数」に示します。
表27.16 その他の統計情報関数
pg_stat_activity
ビューの基礎となるpg_stat_get_activity
関数は、
各バックエンドプロセスに関して利用可能な情報をすべて含むレコード集合を返します。
この情報の一部のみを入手することがより簡便である場合があるかもしれません。
このような場合、表27.17「バックエンド単位の統計情報関数」に示す、古めのバックエンド単位の統計情報アクセス関数を使用することができます。
これらのアクセス関数は、1から現在活動中のバックエンドの個数までの値を取る、バックエンドID番号を使用します。
pg_stat_get_backend_idset
関数は、これらの関数を呼び出すために、活動中のバックエンド毎に1行を生成する簡便な方法を提供します。
例えば以下はすべてのバックエンドについてPIDと現在の問い合わせを示します。
SELECT pg_stat_get_backend_pid(s.backendid) AS pid, pg_stat_get_backend_activity(s.backendid) AS query FROM (SELECT pg_stat_get_backend_idset() AS backendid) AS s;
表27.17 バックエンド単位の統計情報関数
関数 | 戻り値の型 | 説明 |
---|---|---|
| setof integer | 現在活動中のバックエンドID番号(1から活動中のバックエンドの個数まで)を設定します。 |
| text | バックエンドが最後に行った問い合わせテキストです。 |
| timestamp with time zone | 最後の問い合わせが開始された時刻です。 |
| inet | バックエンドに接続したクライアントのIPアドレスです。 |
| integer | クライアントが通信に使用しているTCPポート番号です。 |
| oid | バックエンドが接続するデータベースのOIDです。 |
| integer | バックエンドのプロセスIDです。 |
| timestamp with time zone | プロセスが開始された時刻です。 |
| oid | バックエンドにログインしたユーザのOIDです。 |
| boolean | バックエンドが現在ロックを待機している場合は真です。 |
| timestamp with time zone | 現在のトランザクションが開始された時刻です。 |